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金澤編集部ブログ

金沢倶楽部 月刊金澤-KANAZAWA STYLE- 知らないことが、いっぱいある。生活を豊かにする雑誌のチカラ。
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2012.05.21

おそるべし羽生永世6冠。


先日、知人が見せてくれた1本の扇子には
「“混沌”羽生善治」と書かれていました。
ううむ、すごい。
「混沌」と書かれて喜ぶ知人もすごいが、
やはり「混沌」と書いた羽生さん本人がすごすぎる。
何年か前に対局中に観戦記者からサインを求められ、
羽生さんがそれに応じているのをテレビで見たことがあります。
とても常識では計れない人です。さすが七冠。

『3月のライオン』という将棋マンガにハマっています。
いまさらながら「どうぶつしょうぎ」を購入し、
5歳の息子と対局しています。
羽生さんは過去に自分の読む手数を
「直線で30~40手、枝葉に分かれて300~400手」
と語っていましたが、
私は頑張って3~4手先が精いっぱい。
『3月のライオン』には羽生さんを想起させる
名人が登場します。おすすめです。

そして、もちろん『金澤」最新号もおすすめ!
特集は「スイーツ」&「ランニング」。
本誌をもとにスイーツを楽しんだ後は、
走って体型維持に努めましょう。

(編集部/若林)

2012.05.14

古本主義1


先日、印刷の立会いの合間に入った某古書店。
こうしたブックOとかブックMというような古書店に入ると、
私は迷わず「105円」コーナーに直行する。
そうして一通り眺めて欲しかったものがあれば
さっさとレジに持っていき、店を出る。

この日も、まずは文庫の海外小説コーナー、
続いて文庫の日本小説コーナー、
そして単行本でも海外から日本へと移動し、
いつもはこれで終わりなのだけれど、
ついでに新書のコーナーも見て回った。
何となく「予感」めいたものがあったのだと思う。

手にしたのは内田樹氏の『日本辺境論』(新潮社)。
随分と売れた本だと記憶していますが、未読。
新書ってあまり好きではないので105円とはいえ迷いましたが、
ぱらりと頁を繰ってみると、そこに何と著者のサインが!
すぐにレジへ向かいました。

たくさん出回った本とはいえ、内田先生のサイン本が105円。
これだからブックOやブックM通いはやめられないのです。
ちなみに過去にスーパーの一画に仮設された古本コーナーで、
サンリオSF文庫を2冊100円で手に入れたことがあります(自慢)。
バロウズの『ノヴァ急報』とディックの『流れよ我が涙、と警官は言った』。
あのときはレジでお金を払った後、逃げるように帰りました。

※「金澤」5月号、発売中!

(編集部・若林)

2011.08.01

君の瞳に乾杯。


まもなく『金澤』9月号の制作を終えます。
今回は「BAR特集」を担当。改めて、酒の魅力・魔力に触れる機会となりました。

さて――酒にまつわる名文で印象に残っているのは、これです。

何年か前、彼は、もし世界に明かりのスウィッチというものがあれば、もう一目盛りか二目盛り暗くするのだが、と私に言ったことがある。私はその時、それはウイスキーがやってくれるよ、と思ったのを覚えている。ウイスキーは明かりを暗くし、ヴォリュームを下げ、物の角をまるくしてくれる。

ローレンス・ブロックのマット・スカダーシリーズの代表作『八百万の死にざま』の一節です。ハードボイルド小説で「酒」というとチャンドラー(有名なのは「ギムレットには早すぎる」)も忘れがたいですが、アル中探偵(この作品以降は禁酒するのですが)を主人公にした本シリーズは、ときおり前記のような美しい文章で酒の一面を切り取ってくれます。それが酒の良い面であれ、悪い面であれ。

「一人の人間が習慣的に大量の酒を飲むようになるには様々な理由がある。理由は様々だが、結果は大抵同じだ」――これは、村上春樹の『羊をめぐる冒険』でしたっけ。

どこで見聞きしたのかは忘れましたが、次の会話は好きです。

「※※さんは酒さえやめておけば、部長くらいにはなれたのに」
「別にいいんだよ。酒を飲めば社長になれるんだから」

あと、日本酒が飲めない私に、こう言って無理やり飲ませようとした人もいました。

「こんなの米と水ですよ」

(編集部/若林)
2011.06.13

今日は何の日?(3)


45年前の今日(1966年6月13日)、アメリカ合衆国最高裁判所が、
後にミランダ警告と呼ばれる告知を逮捕時に行うことを警察に義務付けた。
「アーネスト・ミランダ対アリゾナ州事件」の判決中のことである。

警告内容は以下の4つ・・・・・・

あなたには黙秘権がある。
あなたの供述は、法廷であなたに不利な証拠として用いられることがある。
あなたには弁護士の立会いを求める権利がある。
弁護士に依頼する経済力がなければ、公選弁護人を付けてもらう権利がある。

ミランダ警告・・・・・・アメリカのミステリ小説のファンなら、馴染みのある言葉でしょう。
何年か前に、こんな短篇集が話題になったこともあります。

 

『あなたに不利な証拠として』ローリー・リン・ドラモンド著。なかなかに粒ぞろいの短篇集でした。
日本でも、黙秘権の存在は刑事訴訟法の第291条の2によって裁判官から示され、
また刑事訴訟法第198条の2に「取調に際しては、被疑者に対し、あらかじめ、
自己の意志に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない」とあります。
弁護士を呼ぶ権利も、刑事訴訟法第77条の1、あるいは第79条によって告知されます。

それから6月13日は、太宰治が玉川上水に入水した日でもあります(1948年。遺体発見は19日)。
普段、太宰を読む機会なんてまずないので、こんな日くらい、短篇の一篇くらいは
読んでみるのもいいかもしれません。個人的に読み返したいのは「トカトントン」。

 

細かい表現など、古臭いところもあるかもしれませんが、内容的には現代に充分通用します。
締め切りに追われているときなど、ときたま「トカトントン」と妙な音が聴こえてくるときが・・・
なくもありません。たんに病気かもしれないのですが。

(編集部/若林)

2011.03.07

蜜柑の皮をむく


この冬、わが家ではかなりの量の蜜柑が消費された。私もこれまで生きてきた中で一番食べたというくらい食べたが、子どもと奥さんは、軽くこちらの5倍くらいは食べている。蜜柑は決して安くはなかったので、家計もその分、圧迫された。

こんな本を見つけた。『みかんの面白いむき方大百科』。これをもっと早く知っていれば、値段以上の楽しみを味わうことができただろうなと思う。

どんな「みかんの面白いむき方」が紹介されているかは、実際に本を手にとってもらうのが一番なのだが、それは面倒だという方は、YouTubeで「みかんのむき方・おもしろ大百科」と検索してください。そのだいたいのところは理解していただけると思う。

さて、この『みかんの面白いむき方大百科』を見ていて、ある短篇小説を思い出した。村上春樹の初期の一篇「納屋を焼く」だ。
これは「僕」の知り合いの女の子が消えてしまうというお話なのだが(と書くと何だかバカバカしく聞こえるが、とても面白い話です)、エピソードの一つとして、この女の子が蜜柑の皮をむくという場面がある。といっても本当に蜜柑の皮をむくのではなく、パントマイムで蜜柑の皮をむいてみせるのである。
その女の子はとても上手に架空の蜜柑の架空の皮をむき、「僕」に「君には才能があるようだ」と褒められると、「蜜柑があると思い込むんじゃなくて、ここに蜜柑がないことを忘れちゃえばいいのよ」と答える。
これには「なるほどねえ」と唸らされた。しかし、なかなか「蜜柑がないことを忘れる」という域には達せない。

機会があれば、こちらも読んでみてください。

(編集部/若林)

2011.02.28

恐ろしい世界


昔、探偵になりかけたことがある。

二十代の後半、放浪生活に終止符を打った私は、そろそろ腰を落ち着けて働こうと職を探していた。そのとき目にしたのが、名古屋に本部を置く、とある興信所の求人広告だった。金沢に支所を出すにあたり、職員を募集していたのである。

世間知らずで非常識。二十代後半で定職にもつかず、髪はロン毛。ほんの軽い気持ちで履歴書を送ったところ、なぜか担当者に気に入られ、電話口で「探偵心得」をとくとくと説かれた。そして最後に、彼はこう締めくくった。
「ということで、金沢支所をぜひ、君に任せたい」

恐ろしい世界だな、と思った。仕事の内容もさることながら、履歴書一枚で、こんな私に支所を任せようというのである。私はきっぱりとお断りした。こちらからアプローチしておいて何ですが。

知り合いから「興信所」に依頼してみようと思っているんだけど・・・と相談され、私はそんな昔話を思い出した。私だったら近寄らない、とだけ知り合いには助言した。少なくとも、誰もしあわせにはなれないだろうと。

そういえば、数ある私立探偵小説を読んできたけれど、「めでたし、めでたし」といった結末に至ったという記憶がない。ちなみに私の好きな私立探偵小説の主人公は、フィリップ・マーロウとマット・スカダー。

※この本の内容もかなりエグイです。イースト・プレス刊

(編集部/若林)

2011.02.21

とっておきの一冊


香林坊での取材の前に、109のシネモンドに立ち寄る。映画『森崎書店の日々』上映にあわせて、「オヨヨ書林」「あうん堂」「NYANCAFE-BOOKS」の3店がとっておきの映画関連本を置いた【出張ひとはこ古本市】をやっていると聞いていましたので。

さすがの品揃え(ぜひ、その目で実際に確かめてください)で、ガラス越しに並んだ背表紙を見ているだけでも楽しい。持っている本もあれば、ほしくても買えなかった本などもあって、映画に夢中になった若き日々を思い出す……。

ふと、自分なら何を置く――と考えてみる。「売る」「手放す」ことを前提にすると話は違ってくるのだけれど、単に「とっておき」の映画本を揃えるとすれば、第一に和田誠さんと山田宏一さんの共著、『たかが映画じゃないか』を外すわけにはいかない。いったい何度読み返したことか。まだビデオレンタルが始まる前、そして始まったところで1本1,000円以上もした時代にまるで銀幕に魅入るのと同じようにしてむさぼり読んだ1冊。紙は色褪せ、インデクッスの映画のタイトルの頭には実際に見た分は赤鉛筆で丸印がつけてあるなど、どのみち他人様に売れる代物ではないのだけれど、いまなおいつでも読めるように、常に枕元に置いてある。たぶん、絶版。

※和田誠さんのイラストを見るだけでも映画的興奮が味わえる。

(編集部/若林)


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